データをもとに現状を可視化、フレイルや要介護状態を予防する

日本では要介護者だけでなく、健康・要介護の中間状態であるフレイル(虚弱状態)の高齢者が増えている。近年、コロナ禍により運動機会や人との関わりが減り、フレイル状態となる人が増えていて、初期段階での適切な予防や治療などの介入がいっそう重要視されている。

当該自治体ではフレイル・介護予防事業を推進していて、今回、より効果的でセルフケアを前提とした誰も取り残されない介護予防の実現を目指し、従来の施策に加えて、新しいサービス事業を実施するという。豊中市NECは、デジタル技術を活用して健康・生活課題を収集・分析し、健康状態を見える化するサービスを4月3日から順次開始する。

同サービスでは、運動や口腔機能の状態、食生活の習慣、社会参加の度合いなどに加えて、歩行速度、歩幅、左右の足の上り角度など個々人の歩行姿勢を3Dで計測するユニークな「NEC歩行姿勢測定システム」による測定結果など最大約70項目の多面的なデータを収集する。収集データをもとに身体機能や食習慣、社会参加などの現状を見える化し、本人に分かりやすく伝える「当日フィードバック帳票」を測定時にその場で提供する。

上記測定および帳票による自治体のフレイル・予防施策は関西初だという。今年中には通所訪問型短期集中サービスや通いの場などで実施される運動プログラムでの成果を本人やリハビリテーション専門職、ケアマネージャーなどに分かりやすく伝える「成果フィードバック帳票」の提供も開始する予定。各種状態を俯瞰的に把握した専門職から、よりパーソナライズ化された適切なアドバイスの提供などが可能になる。

高齢者本人の気付きや納得感、継続意欲喚起も期待でき、フレイルの進行防止や改善に寄与する。新サービスで収集・分析した情報は客観的な根拠に基づくフレイル・介護予防事業の施策立案に役立てられるという。両者は、今後もフレイル・介護予防事業DXに取り組んでいく考えだ。