スコープ3の目標達成に向けて自社製品群のCO2排出量を自動計算

パリ協定(Well Below 2℃/1.5℃努力目標)が求める水準と整合した、5年~15年先をめどに企業が設定する、GHG(温室効果ガス)排出削減目標――

科学的根拠に基づく目標およびそのイニシアティブ(SBTi)を環境省が国際的な取組として解説している。今年2月、自社の気候目標が地球温暖化を1.5°C未満に抑えるために有効であり、パリ協定に合致していることを認証しているとしたうえで、ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセスはグループ全体で提供する自社製品のカーボンフットプリントを自動算出するツール「プロダクト・カーボンフットプリント・エンジン」を開発したことを発表した。

ISO 14067規格に基づき、テュフ・ラインランドから認定を受けている。同ツールは、各事業部で蓄積した既存データを使用し、製品ライフサイクルにおける"ゆりかごからゲート"アプローチに従い、原材料の採取~製品の工場出荷で発生する排出量を計算する。それには、生産時のGHG排出量、製品毎の原材料、消費エネルギー、操業用資材、物流からの排出量及び廃棄物処理による排出量等を含む。

同ツールの活用を通して、顧客の持続可能性の目標達成を支援することを目指している。そして、サプライチェーン全体における排出量に注力していく。昨年8月、スコープ3排出量(参照:環境省Web)に関してグループ全体で2050年までにクライメイト・ニュートラル(気候中立)を目指す目標――購入原材料からの間接排出だけでなく、物流や最終製品からの排出も含まれる――を設定した。

スコープ1と2の目標設定を3年前に終えている同社は、今回、スコープ3の目標を達成するため、全社的なネットゼロ・バリューチェーン・プログラムを開始した。その一環として、持続可能な原材料の調達を増やし、「グリーン」ロジスティクスを導入し、気候中立製品のポートフォリオを拡大していくという。