データ量が非対称な光通信ネットワークを高効率にして"5G超え"へ

高速・大容量、低遅延、同時多数接続を特長とする5G通信サービスの導入が進められている。国内外ではその次の世代――5Gからの連続的な進化を遂げ、さらに新たな機能を備えた通信サービスに向けた研究開発が推進されている。

Beyond 5G(参考:総務省PDF)。それにはPb/s級の光リンク容量が必要となるうえ、現在上り・下りで通信データ量が非対称でも同じ帯域の光信号が割り当てられている光ネットワークにおいて、クラウドの増加等により一層拡大するだろう非対称データ通信を、無駄なく収容可能なしくみの実現が求められているという。

香川大学NECサンテック古河電工は、非対称データ通信を効率的に収容可能なマルチコアファイバに基づく空間分割多重光ネットワーク技術の実証に成功した。今回の取り組みはNICT「Beyond 5G研究開発促進事業」に係る基幹課題「Beyond 5G超大容量無線通信を支える空間多重光ネットワーク・ノード技術の研究開発」の委託研究に基づいて実施したもので、上記技術は次の4つで構成されている。

①1芯マルチコアファイバを用いて非対称データ通信を効率よく転送可能な空間分割多重光ノード構成技術(担当:香川大学)、②1芯マルチコアファイバ内の任意のコアを任意の方向に伝搬する光信号を増幅する技術(同NEC)、③入力マルチコアファイバ内の任意のコアを任意の出力マルチコアファイバに切り替え可能なコア選択スイッチ技術(同サンテック)、④装置内接続用マルチコアファイバ設計・配線・接続技術(同古河電工)。

マルチコアファイバを用いて非対称データ通信を効率よく転送したり、光のまま増幅したりすることが可能になり、将来のBeyond 5G無線通信サービスを支える、経済性と転送性能に優れた超大容量光ネットワークの実現が期待されるという。成果は光ファイバ通信国際会議「OFC」にて発表予定とのことだ。