洋上の波と風を高精度予測、発電設備の建設・保守作業を支援する

世界各国・地域がカーボンニュートラルを目指している。CO2排出量削減の取り組みとしてグリーンエネルギーの活用が広がり、日本国外では洋上風力発電所の建設が進んでいる。海上で行われる当該設備の建設作業は、安全性の観点から中止基準が低く、高精度な気象データが必要になるという。

ウェザーニューズは、洋上風力発電市場向けの海上作業支援サービス「ANEMOI」の提供を開始した(問合せ先)。同サービスの予測モデルでは、世界中の海上の波・風を1時間ごと72時間先まで――一般的には5kmメッシュだが――1kmメッシュの解像度での予測を可能とする。調査段階からの過去データや建設作業・運用中に観測するリアルタイムデータを取り込むことでAIによる即時補正を施し、より精度を高めるバージョンアップも予定している。

ANEMOIでは、作業船の運航可否および航路選定を支援する「運航可否判断支援」や、建設・メンテナンス作業のリスクを可視化した「作業計画支援」のコンテンツを提供する。洋上風力発電市場向けに開発した「EMOTION」やその他の独自気象予測モデルによる波、風、天気、視程、降水量、気温、湿度、台風、落雷などの情報を最大15日先まで確認できる。各種情報は、約2週間先までの工程計画の策定や作業可否の判断に役立てられる。

昨年3月以降、デンマークの大手電力事業者であるオーステッド(Ørsted)が、洋上風力発電設備の建設・メンテナンスの作業で「ANEMOI」の先行利用を開始。「ANEMOI」で提供する気象データは、予測精度が高く評価され、現在台湾の彰化県沖で建設中の洋上風力発電所(Greater Changhua 1 & 2a)で活用されているという。

同社は今後、加速するグリーンエネルギー市場における顧客のあらゆる業務を気象面からサポートできるよう、新サービスの開発や予測精度の向上に取り組んでいく考えだ。