口腔機能をAIにて見える化、機能向上や誤嚥リスク軽減へ

食べ物や飲み物の一部などが気道に流入する「誤嚥」が元となって起こる。誤嚥性肺炎は介護現場での死亡事故原因の約3割(最大要因)を占めている。誤嚥を誘因する一つが加齢とも関係する「口腔機能の低下」だ。

日本人の全死因の中でも第6位(厚労省『令和2年人口動態統計の概況』第6表)である。誤嚥性肺炎の防止は重要な社会課題となっているが、多くの介護現場では、口腔機能を適切に評価できる専門家が極めて少ない。現状ではさらに、口腔機能は歩行等の身体機能に比べて目に見えにくいことや、介護現場における専門職の配置が少ないことなど様々な背景から、口腔ケアの優先度が低くなる傾向にあるという。

エクサウィザーズは4月、子会社エクサホームケア('21年6月設立)が提供する身体機能分析AIサービス「CareWiz トルト」に新機能「口腔機能分析」を追加する。同サービスは理学療法士の知見を学習した歩行分析AIによって高齢者の歩行状態を見える化し、転倒リスクの軽減をサポートしてきた。そして今度の口腔機能分析AIは――

DSヘルスケアグループとして訪問歯科診療サポート事業を展開するデンタルサポート、介護事業を展開するDSセルリアの協力を受け開発。高齢者が決められた音節を繰り返し発音する動画を撮るだけで口腔機能を客観的に評価し点数化できる。AIが音声を「速さ」や「発音」等の指標をもとに評価・分析し、コミュニケーションシートにして表示。発音回数だけでは捉えられない口腔機能を点数でわかりやすく把握できる。

AIの評価結果に応じた口腔機能向上トレーニングの提案、口腔機能低下によるリスクが高い場合に専門家への相談を推奨することなども予定している。トルトの提供により、エクサウィザーズとエクサホームケアは介護現場を適切にサポートし、高齢者の身体機能全般におけるリスク軽減に貢献することを通じて、社会課題解決に取り組んでいく構えだ。