広大な放牧地をローカル5GでDX、軽種馬育成の課題解決へ

サラブレッドなど軽種馬の育成と体調管理では安全かつ適切な運動・摂食に資する「放牧地の管理」が重要だ。春~秋には牧草の生育が著しく、毎日、猛暑下でもトラクターによる草刈りを要し、冬季には降雪のたびに除雪を行う必要があり、放牧地管理は通年で長時間労働の要因になっているという。

シャープビッグレッドファーム北海道新冠町東芝インフラシステムズエクシオグループ調和技研ヤンマーアグリ名古屋テレビ道銀総研は、総務省の開発実証事業として昨年11月~今年2月、ビッグレッドファーム明和にて「ローカル5Gを介した無人ロボットトラクターの遠隔操作による、軽種馬用放牧地の管理作業の省人化に向けた課題実証」「広大な放牧地での分散アンテナによるローカル5Gエリアの柔軟な構築に向けた技術実証」を行った。

4Kカメラを備え予定ルートを自走するトラクターの作業領域の様子を高精細映像としてローカル5Gで伝送し、基地局車両内で受信・確認するシステムを構築した。これにより、トラクターに乗車することなく放牧地の草刈りや除雪ができ、ロボットトラクターの緊急停止や再発進の遠隔操作も可能になった。

牧草の生育が芳しくないエリアを省くなど、より効率的な草刈りを実現するため、ドローンとAIを用いたトラクターの操作の検証も実施。作業前にドローンで撮影した放牧地の状況をもとに、AI解析により最適な作業経路を設計し、無人トラクターに伝送することで、より精度の高い作業の実現を検証している。これらにより、牧草地管理作業の省人化と、牧場経営の効率化が期待されるという。

9者はそれぞれ、今回の実験での技術蓄積をもとに、広大な農用地や牧草地での効率的なローカル5Gエリア構築による作業の省人化や、高精細映像伝送を用いた顧客ニーズ対応などを図っていく。他分野への展開も積極的に進め、ローカル5Gによる地域産業の発展に貢献していく構えだ。