データマイニング等に資するSaaS市場はおよそ3割成長が続く

データ駆動型社会の実現が謳われている。日本でも、大量データを蓄積してその中から価値ある情報を発掘・採掘するデータウェアハウス(DWH)やそれを部門レベルでするデータマートはIT予算が潤沢な製造・物流・流通系の大企業を中心に駆使されてきたが、それらはいわゆるオンプレミス型であった。

各種ITソリューションをスモールスタートできるIaaS/PaaS/SaaSのクラウドコンピューティング時代である。今月2日、調査会社のITRは、国内のDWH用DBMS(データベース管理システム)市場規模推移および予測を発表した。

同市場の2021年度の売上金額は228億7,000万円、前年度比30.7%増と高い伸びとなった。22年度も同29.0%増と引き続き約3割の伸びが予想される。従来の基幹業務データに加え、WebマーケティングやIoT関連システムのデータも格納するようになったことで、DWHに蓄積されるデータ量が増大し多様化していることが市場拡大の背景にある。

同市場を提供形態別に分類して見ると、21年度のSaaS市場の売上金額は215億円(前年度比32.7%増)。クラウド上でのデータ活用が進むなかで、DWH用DBMSの処理についても、拡張性やデータ・マネジメント機能の豊富さからSaaSを利用する企業が増加している。CAGR(21~26年度)では、パッケージ市場はマイナス4.3%と市場が縮小するのに対し、SaaS市場は26.2%と高く、2026年度には700億円規模に迫ると予測している。

「DWH用DBMSは、従来の用途であるDWHに加えて、ビッグデータの活用に不可欠なデータレイクの構築にも拡大していることから、今後も高い成長率を維持すると考えます」と同社リサーチ・フェロー平井明夫氏がコメントする。今回の発表内容は『ITR Market View:DBMS/BI市場2023』にて詳細を確認できる。