ロボットと遠隔操縦システムにより砂漠化地域などでも営農可能に

気候変動の抑制、カーボンニュートラルの実現が求められている。2019年のIPCC「土地関係特別報告書」によると、近年の人為起源の温室効果ガスの排出源割合のうち、農業や林業・畜産業を含めた土地利用による排出量が全体の約30%を占めていて――

従来の農法の再考の重要性が指摘されているという(参考:環境省PDF)。早稲田大学理工学術院総合研究所の大谷拓也次席研究員理工学術院の高西淳夫教授ら)の研究グループは、サステナジーとの産学連携・共同研究により、ソーラーパネル下で複数種の植物が混生密生する農地環境にて移動及び種植え・雑草剪定・収穫の3作業が可能なロボットとその遠隔操縦システムを開発した。

新システムは従来比で動作時間49%、障害物との干渉率50%削減を達成した。これにより、ソニーCSLの舩橋真俊シニアリサーチャーが提唱する、砂漠化地域や劣化した土地などでも実施可能な協生農法(実践マニュアルPDF)をソーラーパネル下で大規模に行うことができれば、気候変動対策としての緑化・再生可能エネルギー生産、加えて食料生産も進められるだろうという。

環境の自動認識と組み合わせた作業自動化・作業ツールの自動交換、夜間も含めた長時間の作業に対するロボットの堅牢性の向上、全体の作業時間と製造・運用コストの低減に向けて、さらに研究開発を進める。協生農法が生物多様性や緑化に与える効果を大規模に検証するため、サステナジーは日本国内の耕作放棄地やケニアなどの砂漠化地域での本プロジェクトの事業化の準備を進めている。

ロボットの支援により農作業が実現できる協生農法を地球規模で推進することで、国連SDGsにも通じる地球生態系の回復、気候変動防止に寄与する食料生産、そしてカーボンニュートラル社会の実現に貢献することが期待されるという。研究グループの成果はスイスMDPI社『Agriculture』誌に掲載された。