マネロン対策、取引監視などのAI機能をシステムサービス化

FATF(金融活動作業部会)は一昨年8月に第4次対日審査報告書を公表した。その結果、金融機関における取引モニタリングや取引フィルタリングの高度化・効率化を図ること等が喫緊の課題とされた。一方で、中小規模の金融機関等においては、予算や人員などのリソース面でそれら課題に――

単独での対応が厳しい状況にある。FATF第4次対日相互審査の公表などを受け、全国銀行協会は今年1月にAML/CFT業務の高度化・共同化を図るマネー・ローンダリング対策共同機構を設立、この新会社にて「取引モニタリング等のAIスコアリングサービス」を提供予定だという。NECは2月7日、同サービスのシステム構築ベンダに選定されたことを発表した。24年度以降の段階的なサービス提供に合わせて、稼働を開始する。

上記システムは、①AIモデルによる業務効率化、②AIシステムの有効性を確保を特徴とする。①では、金融機関の取引モニタリングシステム・ネームスクリーニングシステムから出力されるアラートやヒット情報のリスク度合いをスコア付けするAI機能を提供予定で、大量のアラートやヒットの誤検知への対応の効率化ができる。同サービスを利用する金融機関は、より幅広いアラートやヒットの検出に対応することが可能になる。

「判定結果がブラックボックス化され説明責任を果たせない」「データ品質に問題があり正しい予測結果が得られない」といったAI特有のリスクを制御することが重要であり、上記システムでは安心安全運用に向けて、処理対象となるデータの品質管理やAIシステム自体の有効性検証等、リスクへ適切に対応する予定だという。

同社は、AI不正検知等の豊富な実績、業務ノウハウ、先端ICT等を活用し、金融機関の不正対策をテクノロジーで支援するサービスの提供・開発を進めていく。「NEC Value Chain Innovation」を顧客と共に実現していく構えだ。