衛星画像による森林経営支援とカーボンクレジット発行サービスを実証

森林の保護や植林、省エネルギー機器導入などによって温室効果ガス(GHG)の低減を図る。CO2などの削減効果(削減量、吸収量)をクレジット(排出権)として発行し、他の企業などとの間で取引できるようにする仕組みを「カーボンクレジット」と呼ぶ。

日本では国が運営する「J-クレジット制度」でクレジットの活用が進められつつある。今月3日、名古屋大学は、NTT西日本東海支店NTTデータSpace BDと共に、衛星画像データを活用した森林経営支援とカーボンクレジット発行事業のサービス化をめざす「森林経営健全化プロジェクト」を今年1月に開始したと発表。その端緒として4者は、4月まで森林経営の健全化に向けた森林のCO2吸収量を効率的に評価するための技術実証を行う。

今回、愛知県岡崎市の協⼒を得て4カ月間最初の実証をする。同プロジェクトは、①衛星データ活⽤による森林経営⽀援、②衛星データを活⽤したカーボンクレジット発⾏について、技術・事業両⾯から検証し、将来的に⾃治体および⺠間会社へのサービス提供をめざす。①では、現在現地調査などを要する森林管理のプロセスにおいて、衛星からの画像を活⽤した⾼精細な3D地図データを導⼊することで、⼈的管理コストの低減に繋げる。

第⼀次産業での⼈材不⾜解消にも貢献することが期待される①に加え、②では、現地調査や航空機観測で⾏われていた森林のCO2吸収量の測定に衛星データを活⽤していく。衛星データを活⽤することで、より広範囲のCO2削減量を⼀度に確認することが可能になり、森林経営の効率化および透明性の⾼いクレジット発⾏サービス化を具現化できるという。

今般の技術実証の結果をもとに、4者は製品開発と事業化に向けた取り組みを続けていく予定だ。これからも行政府と連携しつつ衛星データ活用型の「森林経営健全化プロジェクト」を実現し、脱炭素社会へ貢献していく構えだ。