心疾患の維持期に、行動経済学理論によるスマホアプリで運動サポート

心疾患は日本人の死亡原因疾患の第2位であり、再発率・再入院率が高いことが知られている。また、定期的な運動を含んだ心臓リハビリテーションは、心疾患の再発・再入院予防に効果のあることが立証されている。

厚生労働省の「令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況」に上述の順位が示されている。日本の医療保険制度では、心疾患の発症から150日間が経過した「維持期」において、十分な心臓リハビリテーションが実施できていない現状がある。そこで、心疾患患者が維持期において運動を継続できるようにすることを目標にしたという。

昭和大学藤が丘病院循環器センター循環器内科の礒良崇准教授らは、横浜市立大学・大学院医学研究科リハビリテーション科学の中村健教授および大学院生の岡村正嗣理学療法士らを代表とする研究グループと共同で、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院の松田央郎准教授ら、NTT ComおよびNTTデータ経営研究所をはじめとするNTTグループとともに、行動経済学の理論を用いた「運動サポートツール」を開発した。

研究グループは昨年12月より、同ツールを用いた運動療法の有効性を検証する多施設共同研究を行っている。今般の「運動サポートツール」は、NTTと東レが共同開発したhitoe®を使った着衣型ウェアラブルデバイスとスマホアプリとで構成され、各患者の状態に適した運動目標を設定でき、日々の運動実績に対して適宜フィードバックすることが可能だという。

今後は、心疾患患者を対象とした運動サポートツールの効果を検証する研究を進め、運動習慣の獲得を促進し、普段の運動量の向上、再発・再入院率の低下に繋がるアプローチ方法の開発を目指す。また、NTTグループは本共同研究の成果を、内閣府が推奨する新たな官民連携手法"成果連動型民間委託契約方式(PFS)"など、自治体が継続的に取組める社会実装の検討に活かしていく考えだ。