それぞれ保有するヘルスデータ等を互いに利活用、可能性を探る

健康診断やレセプト(診療報酬明細書)などの情報をリアルワールドデータ(RWD)という。その収集と利活用は、ライフサイエンス・ヘルスケア系の研究開発の効率化やコスト削減につながることが期待されている。

「RWDの利活用推進への製薬業界からの期待」(厚労省PDF)などが確認できる。今年1月26日、東芝DeNAライフサイエンスは、それぞれ蓄積してきたゲノムデータを含むヘルスデータの利活用の協業に向けた検討を開始した。ゲノムデータに結びついた健康診断結果・問診結果・レセプトデータ、および生活習慣アンケートデータを、それぞれのサービスなどと相補的に連結し、各種分野での利活用の可能性を探っていく。

前者は企業コホート(観察対象集団)で1万人超のゲノムデータと過去10年以上の従業員の健康診断、問診結果、レセプトデータを蓄積している。産業分野で培ってきたビッグデータ解析技術を応用したしくみ「生活習慣病発症リスク予測AI」の開発実績を有している。一方後者は、約12万人の会員が利用する遺伝子検査サービス「MYCODE」を展開していて、企業×アカデミアのプロジェクト「MYCODE Research」でも成果を上げている。

今回、様々な企業へデータの利活用サービスを提供し、課題解決につなげることを目指す。医薬品分野では、新薬研究開発や市販後の調査などへ活用すれば疾患への新たなアプローチ法の創出や投薬量の適正化などにつながり、治療の選択肢が増える可能性がある。ヘルスケア分野では、健康アプリ開発などにヘルスデータを活用して、行動変容、予防・未病の取り組みにつなげ、個人のQOL向上に寄与できると考えている。

食品分野では、個人最適な食習慣アドバイスといった応用が考えられるという。両社は、産学共同研究、バイオバンクとの連携も視野に、社会的経済的に価値のあるサービスの創出・社会実装を同時に目指していく構えだ。