AIの4大カテゴリにおいて、秘密計算ソフトウェアを試せる

第四のパラダイムとも呼ばれるデータ駆動型科学が普及しつつある。昨今、研究データを原則公開し多分野での利活用を図るオープンサイエンスの機運が高まっているものの、プライバシーに関わるデータや営業秘密に関わるデータなどは、情報漏洩や不正利用の懸念もあり、利活用が進んでいない。

その解決策として注目されているのが、データを暗号化したまま一度も元に戻さず処理できる秘密計算技術だという。NIIは、オープンサイエンスの実現に向け、大学の研究データを適切に管理しつつ利活用を加速するため、秘密計算を用いた安全なデータ分析基盤に関する研究を進めている。今回、NTTと共同で、世界初のAI 4大カテゴリの主要なアルゴリズムによる学習・推論が可能な秘密計算AIソフトウェアを利用できるトライアルを提供する。

回帰・クラス分類・クラスタリング・データ次元圧縮の主要なアルゴリズム――勾配ブースティング木・ニューラルネットワーク・階層型クラスタリング・主成分分析などを秘密計算で実行できる。上記ソフトウェアは、データサイエンティストがAI処理を実施する際に一般的に用いるPythonにて容易にプログラミングすることが可能だ。

国内の大学・研究機関に所属する教職員・研究者を対象に、今月末~来年3月末(予定)、実験目的(非商用目的)に限り、無料で利用可能とする。同トライアルは、両者の共同研究の一環として、NIIの計算機上で秘密計算AIソフトウェアを利用するパートナーを募集するもの(申込方法記載RCOSサイト)。

今回の取り組みは、次世代NII RDCにおける高度化機能のひとつである「秘匿解析機能」の実現に向けて、その要素技術として秘密計算技術の有用性を検証することを目的にしているという。両者は、安全にデータを共有できる基盤技術を確立し、誰もが安心してデータを利活用できる社会の実現を目指していく考えだ。