廃棄物処理プラントをローカル5GとAIでスマート化する

廃棄物処理業界では人手不足が深刻な課題だ。再資源化の現場においては、重機と作業員が同じヤードで連携作業する際の接触事故のリスク低減、粉じんの多い労働環境の改善が課題になっているという。

NEC石坂産業は、再資源化プラントにおいて、ローカル5GとAIを活用してスマートプラントの実現を目指す実証実験を昨年10月~12月に実施した。ローカル5G構築やAI実装を積極的に支援するインテルも参画し、異業種間連携で各社のノウハウ・技術を結集したという。両社は一昨年7月より協業(発表記事)し、レーザセンサを活用した荷台センシングと積み荷の高さ測定、映像による廃棄物判別・査定業務を遠隔で行う実証を実施してきた。

今回の実証では、ローカル5Gの特長を活かして、重機の稼働状況や廃棄物の処理量をリアルタイムで可視化し、作業効率の改善検討やリスクの把握を実施した。また重機の遠隔操縦により、作業の効率化・省人化に加え、過酷な現場から離れた安全・安心な作業環境の実現に向けて検証を行った。

混合廃棄物処理プラント内に、インテルXeonプロセッサー搭載サーバと無線技術を活用した重機の遠隔操縦環境を構築し、混合廃棄物を再資源化プラントに投入する際の安全安心を具現化した。施設と重機計8台からのカメラ映像をCoreプロセッサー搭載PCで処理し、NECのネットワーク予測・制御AI"適応遠隔操縦システム"を活用して、安定した遠隔操縦を実現した。

現場リスクの可視化は、管理者が遠隔確認できることで、接触事故のリスク低減とさらなる安全性の担保が可能となった。ローカル5G電波環境等についても、利用エリアの拡大や新たな用途での効率化・省人化の実現に向けて、多くの知見が得られたという。両社は、「気候変動対策に関する誓約(The Climate Pledge)」に署名した企業として、炭素排出量の削減に向けた共創も加速していく構えだ。