建設物の顧客価値創出の一貫としてAI医療機器メーカーと協業する

人工知能(AI)は画像解析に長けている。医療現場DXとも相性が良く、医療従事者の判断等を支援するツールとして大いに活用の幅が広がっていくものと考えられる。

12月27日、戸田建設は、感染症診断用AI医療機器の開発やサービス提供を行っているアイリスへの出資を実施したことを発表した。戸田建設グループ「中期経営計画 2024 ローリングプラン」を策定し、その基本戦略の一つに顧客の体験価値(顧客EX)の向上を掲げている。建設物のオーナーや使用者の「体験」を通じた顧客価値創出を目指していて、その実現に必要な協業を進めている。今回の出資先は――

「みんなで共創できる、ひらかれた医療をつくる。」を使命として深層学習技術を活用し、医師のもつ匠の技をデジタル化するAI医療機器を開発。現役医師でもある創業者沖山翔氏ら5名の医師を含む8名の医療従事者、厚労省・経産省出身者、AI医療領域に特化したデータサイエンティスト、大手医療機器メーカー出身者など多数のプロフェッショナルを揃えている。

医療現場、技術、法規制を深く理解したうえでAI医療機器を迅速に開発できる体制となっている。アイリスの感染症診断支援用医療機器「nodoca®」は咽頭画像と体温や問診情報等をAIが解析、インフルエンザに特徴的な所見や症状等を検出する新しい検査機器だ。痛みが少なく判定結果も数秒〜数十秒でわかるため、患者への負担が小さくなるとともに、医師ら病院職員の業務効率化にもつながると期待される。

インフルエンザ以外の疾病への適用拡大も視野に入れているそれは病院の感染症外来のあり方の変革につながる可能性もあるという。戸田建設は、顧客である医療機関の経営者にとっての新たな価値の創出につながると考え今般出資。今後も有望なスタートアップが持つ技術・サービスと、自社が持つ技術やノウハウ、顧客基盤を活用した価値共創活動に取り組んでいく考えだ。