スマート農業、スペクトルデータ解析にて稲の育成段階を指標化する

社会課題を解決するDXが急務である。日本では「スマート農業」が胎動している。その大学では、農業分野の様々な課題を解決するために、超小型衛星やドローンを用いて詳細なスペクトルを測定・解析する研究を進めている。その一環として――

独自開発した低価格な小型分光器を用いて、数10種類の農作物についてスペクトルデータの収集・解析を行ってきた。同データの活用には専門知識と高度な解析技術が必要となる。そこで同大学と昨年10月より協同研究を行ってきた企業は、累計50社超でのデータ分析業務支援におけるデータ解析・AI技術のノウハウを活かして、データ解析面から上記研究に参画しているという。

北海道大学と、三菱総研DCSは、稲の育成段階を表現する新たな指標を策定するため、今年11月よりスペクトルデータの解析を行っている。植生などの反射光(紫外・可視・赤外等)の波長ごとの強度を広い波長域で同時に精密測定し、情報分析することにより、撮影対象の生育段階や病害虫などの被害状況を推定できる。今回、上記分光器を用いて北海道の稲圃場でデータを取得、当該データをAI技術等を活用して解析する。

その結果を踏まえ、「稲の育成状況を推定するために有効な波長を特定」「計測時の光の入射および測定器の角度および天候といった条件がその推定に及ぼす影響の評価」といった研究テーマに産学協同で取り組む。特定の目的でスペクトル情報を活用する場合、どの波長(波長組合せ)がその目的に最有効かがわかれば、必要最小限の波長のみで高精度測定して、高い判別能力を保ちながらコストを抑えられるという。

同大学では多様な植物種の状態、太陽入射・計測角度ごとのデータを収めた「スペクトルライブラリ」を構築、目的に応じた有効な波長を抽出する作業を行っていて、同社と同ライブラリの充実を図り、状況等把握用の実装を容易にし、国内の農業の様々な課題の解決を目指すという。