ドイツをはじめとする欧州市場は、建設業に関わる規制が厳しく、先進的なニーズが多い。地球温暖化対策や低炭素社会の実現に向けた規制が世界的に最も厳しい市場の一つであり、自動車と同様、建設機械においても、稼働時にCO2などの排出ガスを出さない電動化に対するニーズが強い地域だ。
日本でも近ごろ脱炭素社会の実現に向けた変革（GX）が推進されている。一方、それがかねてより盛んな同市場では、省人化や施工の効率化に対する意識も高い――。そのため、標準モデルをベースに、販売代理店や改造専業会社が、1台のショベルを多用途に使うモデルや、ICT建機、応用製品を開発、改造、販売することが一般的だという。
日立建機と、独キーゼル・テクノロジー（日立建機の欧州代理店Kiesel GmbHの子会社）は10月19日、後者のマーケティングおよび生産、販売・サービス機能を、両社が共同出資する開発会社EAC European Application Center GmbHに譲渡することで基本合意した。EACの社名は「KTEG GmbH」に変更する予定であり、その出資比率はキーゼル・テクノロジー50.1％、日立建機49.9％になるという。
キーゼル・テクノロジーは欧州市場でのマーケティングの知見や商品化のためのノウハウが豊富で、EACは同社の知見・ノウハウを活用し、日立建機の標準モデルをベースに電動化建機や応用製品を開発してきた。今回、その開発機能にキーゼル・テクノロジーのマーケティングおよび生産、販売・サービス機能を統合することで、日立建機は、欧州の先進技術を求める市場動向や顧客の課題をより詳細に把握できる。
KTEGは、マーケティングから開発、生産、販売、サービスまで一気通貫で担い、欧州市場で先進的な電動化建機・応用・ICT対応製品などの市場投入スピードを加速し、社会、環境、顧客の課題解決に貢献していくという。