匂いを組合せ最適化、香料開発の効率化や新たな嗅覚ビジネスの創出へ

匂いの情報を可視化する。その方法として、ヒトの主観となる官能試験があるが、試験官の体調や加齢による衰えに影響され、結果がぶれてしまう。また従来の匂い検知センサーでは特定の匂い成分しか検知できない、匂い成分の分析装置ではヒトの匂いの感覚と無関係な成分まで検出してしまう――

既存の匂い解析技術では、匂いの感じ方を定量化することが困難だったという。NTTNTTデータ香味醗酵は、NTTが開発を進める次世代光イジングマシンLASOLV(解説PDF)とNTTデータのデータ分析技術(関連サービス)を活用し、香味醗酵が保有する数千種類の匂い成分から最適な組み合わせを計算することで、少数の匂い成分で多様な匂い・香りを瞬時に再構成する実機検証を今月開始した。

今後3社にて香料開発の効率化・高度化や映像産業やメタバースへの匂い情報の実装をめざした匂いの再構成技術の研究開発に取り組んでいく。今回、求める匂いを定量的に構成するために、匂いデータベースにある別の匂い分子の中から最も適切な組み合わせを算出する「匂い分子の組合せ最適化」について、上記LASOLVおよび分析技術を用いた最適化計算を適用する。

これまでの実験プロセスに対して、LASOLVの計算力と、数理モデルの構築技術を本分野に展開することで、選定される解候補の精度が向上し、どれだけ開発期間の短縮につながるのか、より良い香料が生み出せるのか、従来手法との比較評価を実施する。数千種類の匂い分子による組み合わせは膨大となるため、その計算をLASOLVにより最適かつ高速に行う。共同実験は、来年3月末まで実施するという。

各社は、より大規模な組合せ最適化問題の計算、イジングマシンのより広範囲かつグローバルなビジネス活用、世の中のすべての匂いの記録・保管・転送・再生を可能とするプラットフォームの構築と人の体験・体感を軸とした嗅覚ビジネスDXをめざす考えだ。