クレカの不正利用を業界横断型で検知、対策を高度化する

2021年通年のクレジットカード不正利用被害額は、統計を取り始めた1997年以来、過去最悪となる330億円に達した。日本国内においても、不正利用対策は喫緊の課題である。

日本クレジット協会が「クレジットカード不正利用被害の発生状況」(PDF)で上記被害額を示し、経産省も「クレジットカードシステムのセキュリティ対策の更なる強化に向けた方向性」(PDF)を公表のうえ官民一体での取り組み強化を宣言――その中で、個社の不正検知システムの共同化が有効であり、ノウハウやデータを共有することで、より高度な不正検知の実現をめざすことが期待されているという。

IWIJCBは10月28日、セキュリティーコンソーシアムをたちあげ、双方の強み――前者の不正検知・FEPシステムの高い導入シェア、後者の「シングルアクワイアリング」の強みを生かし、業界全体の不正利用対策を推進する仕組みの構築に向けた基本合意書を締結した。クレカ決済の上流~下流を網羅的にサポートする。今回の取り組みは、IWIの不正検知システムを導入済みのカード会社より順次展開し、2023年度中の実用化をめざすものだという。

同コンソーシアムでは、各カード会社の保有する不正検知ルールを共有する仕組みを提供するなど、今までにない業界横断的なノウハウやデータの共有による不正検知の高度化を目標とする。いずれ、参画カード会社と一緒に、各社の強みを生かした多面的かつ重層的な不正対策を開発・実施して、カード会員に安全安心な決済環境を提供していく。

例えば、各社が蓄積した不正利用事例を一元化して共有し、最新の不正パターンに参加各社が速やかに対応できる仕組みを構築していく。同コンソーシアムは、他の国際ブランドへも仕組みを提供していく予定であり、不正利用対策という業界全体が抱える課題に対し、ブランドの垣根を超えて各カード会社と協業かつ対応していく構えだ。