農業DX、イチゴの病虫害を先端技術によりスマートに防除する

昨今、日本の農作物生産環境では、病虫害による被害の影響が甚大であり、温暖化などによりその傾向は拡大している。

上記状況が農水省の資料(PDF)に示されている中、同省「「知」の集積と活用の場® 産学連携協議会」において、「統合型農作物病虫害防除システム研究開発プラットフォーム」が2021年8月に設立された。これまでこの取り組みの中で、各分野で先端技術を保有する企業や学術機関が、化学農薬に代わる物理的な防除技術とIT・ロボティクス等の組み合わせによる、新たな病虫害防除技術の確立と社会実装に向けて活動を進めてきたという。

プライムデリカヤンマーグリーンシステムNTT東日本NTTアグリテクノロジーは、環境負荷低減と持続的な農業生産の具現化を目的として、イチゴを対象に「紫外線発光光源」を軸とするスマート病虫害防除技術の確立、および農作物の安心・安全と安定供給の両立を図る生産環境の達成に向けた実証実験を11月に開始する。

ヤンマーグリーンシステムのイチゴ移動栽培装置を中心とした次世代型生産設備が導入されている、プライムデリカ所有の圃場(熊本県内)を実証フィールドにして取り組む。物理的な防除技術として期待される「紫外線発光光源」を用い、NTT東日本が各種試験データの取得と分析を行う。化学農薬の使用量およびリスクを低減させた安心・安全なイチゴの生産・安定供給を実現する次世代型スマート防除技術の確立をめざす。

今回、温暖化の影響で被害が拡大傾向にある「ナミハダニ」を対象に、複数品種のイチゴの葉に紫外線発光光源を照射し、その防除効果を定量的に把握・確認する。将来的には、4社が連携し、ナミハダニに限らずアザミウマ等の害虫や、他の病害を統合的に防除可能な新しい技術の確立と、イチゴの生産における作業自動化の双方を実現する。そうして、スマート防除技術を植物工場等へ実装していく考えだという。