プライバシー保護データで複数企業に横串、UX価値の向上等へ

データ駆動型の社会が形作られつつある。昨今、企業においては、商品やサービスの開発はもとより、新たな顧客体験(UX)を生みだすことなどもデータを軸に加速され始めている。

今月20日、JALJALカードドコモの3社は、JALとドコモ双方のデータの統計的な活用を通じて、顧客体験価値向上と社会課題の解決に取り組む実証実験を11月1日~来年3月31日に実施予定であることを発表した。当該データは、国内線航空券の予約データの搭乗に関する情報と、携帯電話ネットワークの運用データの一部(顧客が利用中の携帯電話の位置データおよび顧客の属性データ)となる。

今回の実験では、ドコモがNTTの協力を得て開発した秘匿クロス統計技術を用いて、各社が保有するデータを各社で、個人を識別できない状態に加工したうえで、データを相互に開示することなく機械処理して、搭乗前の顧客の移動状況に関する人口統計情報を作成し活用――スムーズな航空利用の実現を図る。同技術は「モバイル空間統計®」ガイドラインに準拠しており、「運用データ利用停止手続き」を行っている顧客のデータは利用されない。

東京(羽田)・福岡・長崎空港を対象とし、搭乗日前日、搭乗日当日の便出発の60分前・40分前・20分前での移動状況(居住地域周辺、空港周辺、その他)に関する統計情報を作成。そして、1カ月間における午前便・午後便別などの人口推移傾向に基づき、定時出発率アップに向けた施策を検討・実施する。施策の効果検証を通じて、新サービスに関する知見を得ることで、空港を利用する全顧客のスムーズな移動を具現化していく。

第三者にデータの処理を委託することなく、企業横断で統計情報を作成し活用する取り組みは国内初だという。3社は、航空分野における異業種事業者の安全なデータ連携の実現による、顧客体験価値の向上をはじめとする社会価値の創造と有用性の検証を進めていく構えだ。