ディープラーニングを活用、乳房超音波検査を支援する

乳がんは日本人女性の中で最も罹患者数が多い癌腫である。その一方で、がんと診断された場合に治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標の一つとなる「5年相対生存率」は92%――ゆえに、乳がん検診などで早期に発見し治療を行うことが重要だ。

がん情報サービスWebサイトの「がん統計2022」で上記罹患者数などがわかる。今日、超音波による乳房検査(乳房超音波検査)は、日本人に多いとされる乳腺組織の割合が高い「高濃度乳房(デンスブレスト)」でもがんを検出しやすい特長があるため、マンモグラフィ検査との併用で早期乳がんの発見率がさらに高まることが知られているという。

富士フイルムヘルスケアは、乳房超音波検査の支援機能「eScreening」の提供を今月20日に開始した。AI技術(ディープラーニング)を活用して開発した同機能は、超音波診断装置「ARIETTA 850 DeepInsight」用の新オプションで、乳腺領域中の輝度や質感、形状の違いを輝度特徴量として数値化し、輝度特徴量が周囲と異なる区域を枠で囲って強調表示するものだ。

上記診断装置は被検者の体格や検査者の手技によるばらつきの少ない安定した画像を提供し、より正確な超音波検査を支援することから、高い検査効率と診断能が求められる乳房超音波検査において多く利用されている。新オプションを実装することで、快適な検査環境を提供し、リアルタイムに疾患を見つけることが求められる検査者の負担軽減に寄与するという。

富士フイルムグループは、乳がん検査向けにデジタルX線撮影装置・医療IT・超音波診断装置・CT・MRIなどを組み合わせ、医療現場のニーズに応じたソリューション提案を強化している。今後、グループの保有技術を結集した製品開発を一層加速、より付加価値の高い乳がん検査向けソリューションを世界に提供し、医療の質の向上、人々の健康維持増進に貢献していく構えだ。