スマート工場、作業分節AIと産業工学ツールを連携して――

ものづくりDXが始まっている。昨今、さまざまな製造現場において、技術の平準化や伝承等が大きな課題となっている。

今月19日、ブロードリーフ富士通は、前者の作業分析・業務最適化ソリューション「OTRS®」に後者の作業分節AI技術を搭載し、運用負荷の大幅軽減をめざす共同開発を行うと発表した。両者間のデータの受け渡しは「Broadleaf Cloud Platform」を通じて行われる。これにより、最初に見本となる動画を手動で分割し、当該情報を作業分節AIに学習させることで、残りの動画は自動分割される――大幅な作業時間の短縮を実現する。

今回の連携のしくみについて、富士通アイ・ネットワークシステムズ山梨工場の複数工程で評価を実施したところ、概ね95%の精度で要素作業を分割できることを確認したという。OTRSは、IE(産業工学)手法に準拠し、製造現場において作業中のスタッフの一連の動作を撮影した映像の人・モノ・機械の動きを正確に動画分析・時間分析するツールとして多くの生産現場で採用されている。

自動車関連の製造業のほか、食品業界などでも技術の平準化や動画による技術伝承にて活用されている。一方、作業分節AI技術は、1回分の作業映像から要素作業ごとに分割したデータを教師データとして学習し、同一作業における要素作業を高精度に自動検出することを可能にする。要素作業の検出においては、映像から人の多彩な行動を認識する行動分析技術に含まれる3次元骨格認識技術を用いているという。

富士通は作業分節AI技術を「GREENAGE」として「OTRS」へ組み込むことを想定し、商品提供を予定している。同技術を「第5回名古屋スマート工場EXPO」のブロードリーフブースに参考出展する。両社は、「OTRS」に搭載する作業分節AIサービスの共同開発を通じ、日本のものづくりに携わる事業者のDX推進に貢献していく構えだ。