財務省「ファイナンス」令和2年5月号(特集PDF)に示されている上記問題に対しては、被害実態の定量的把握が難しいことから対症療法的な取り組みに終始せざるを得ず、限界を感じている企業も少なくない。川上~川下のE2Eのサプライチェーン可視化を含む、商流全体での取り組みが強く求められているという。
旭化成とTISは、偽造品問題へのソリューションとなる新しいデジタルプラットフォーム「Akliteia®」を構築し、皮革製品・鞄などのアパレル業界に最適化したサービスを今月日本国内で開始した。それは偽造防止ラベル、真贋判定デバイス、ブロックチェーンの3要素で構成し、「真正性の担保」と「原本性の担保」の両方を実現したプラットフォームだ。
偽造防止ラベルは旭化成独自の材料と技術を用いて製造された透明なラベルで、サブミクロン解像度の特殊パターンが印刷されている。同ラベルを対象製品に実装し、製造工場、物流倉庫、小売店舗/EC倉庫など、サプライチェーンの各拠点で同社が提供する真贋判定デバイスにてスキャンすることで、即座にその製品が真正品であるか否かを確認できる。これにより偽造品を排除するとともに、真正品の数量把握が可能になる。
上記スキャンの結果は、TISのブロックチェーンプラットフォーム「Corda」を用いたクラウドサービス「Akliteia®ネット」に記録される。同サービスは、偽造品の発生状況をサプライチェーン全体で確実に共有することを可能にし、どの段階で偽造品が多く混入されたかなど、被害実態の定量的な把握・可視化を実現する。サプライチェーンの変化に応じて情報の共有範囲を柔軟に変更できるためビジネスプライバシーも確保できるという。