変わらぬ組織風土が不正・不祥事の発生原因、サイバー攻撃に対しても

「品質不正・データ偽装」「会計不正」「法令違反」に関する事件報道が耳目を驚かす。そのたびに日本の大手企業はどうしてしまったのか、そんな体たらくで世界の有力企業と伍していけるのか、サイバー攻撃等への対策や危機意識は十分備わっているのだろうかと思ってしまう。

今月7日、Deloitteは、「企業の不正リスク調査白書Japan Fraud Survey 2022-2024」を発表した。無作為抽出した上場・非上場企業476社からアンケートの回答を得た――今回、上記3つの不正類型に加えてコロナ禍で増加傾向にあり大規模な不祥事につながる「サイバー攻撃」についても、予防・早期発見・発覚後対応の時間軸を意識した設問を用意した。

コロナ禍の影響や近時のトピック(コーポレートガバナンス・コードの改訂改正個人情報保護法改正公益通報者保護法)を広く調査対象にしつつ、普遍的な課題"組織風土"も含めることで、日本企業の不正の実態を多面的に捉えている。実務家や識者のインタビュー記事も充実させ、読者が自社の取り組みを他社と比較しながら、具体的かつ多角的な観点から再検討できるよう工夫を施しているという。

同白書によると、過去3年間に何らかの不正・不祥事が発生した企業は52%――前回調査の54%に続き50%を超えている。リモートワーク環境下での内部通報の微減などからも、不正・不祥事が「発覚」しづらい状況が影響していると推察される。一方で、不正リスクが「高まる」と予想する企業は64%と前回から5%増加。新しい働き方の下、サイバー攻撃や情報漏洩の増加を予想する企業は約6割に達し、会計不正の発生予測も3割程度ある。

今回の調査では品質不正やデータ偽装の原因として、品質よりも納期や業績を優先する組織風土を挙げた企業が半数以上となった。不正・不祥事対策を担う部門の人材不足、外部専門家やツールの活用不足などが指摘されている。