建設現場DX、天井クレーンの遠隔・自動操作で生産性アップ

人手不足の深刻化が社会課題となっている。日本では、生産システム全体におけるデジタル技術の活用によって、魅力ある建設現場をめざす取り組み「i-Construction」が国交省を軸に進められている。今日、建設業において、生産性向上と働き方改革を実現するためには――

ICTを活用した施工や、生産プロセスそのものを変革することが重要だ。そこでこれまで、建設工事現場で使用される建設機械全体の自動・自律化に向けた取り組みを推進してきたが、天井クレーンはまだ手動であった。同クレーンに備え付けられてあるリモコンを使用し、手動運転で骨材を投入していた。大林組は、各種天井クレーンに後付けすることで、揚重、運搬作業の遠隔操作と自動化が可能となる「天井クレーン自動運転システム」を開発した。

今般それを建設現場のコンクリートプラントで複数種類の骨材(砂・砂利)を容器(ホッパー)に投入する天井クレーンに適用した。同システムがホッパー内の骨材の残量を検出し、減少するとクレーンが自動で骨材の貯蔵場まで移動し、くみ上げてホッパーに投入する。

「バックホウ自律運転システム」「タワークレーン自動運搬システム」などに続いて開発した、上記新システムは、①レーザースキャナーによる位置管理を利用した自動運転、②「Depthカメラ」による対象物の形状把握を生かした自動運転、③場所を問わない遠隔操作・監視が可能といった特長を備えている。

新開発システムについて、定点間移動の多い天井クレーンや、クラムシェルを使用した揚土作業など、コンクリートプラント以外に展開していく。同様のクレーン作業を複数台で行う現場に導入して、作業の一元管理、機械間連携も行っていくという。同社は、建設機械全体の遠隔操作や自動・自律化と、それらを統合管理するプラットフォームを構築・運用することで、省人化による生産性向上を図る建設DXを推進していく構えだ。