豚の発情検知をデジタル化、AI活用サービスにて作業効率大幅アップ

世界で食肉全体の需要が増加傾向にある。そんな中、日本は豚肉消費量の約半分が輸入頼り、国内での養豚は豚肉安定供給にとっても重要である。一方、畜産農家数は1980年以降減り続け、養豚経営が中小規模から大規模へと移り変わり、一戸あたりの飼養頭数が増加する状況下――

熟練の技と経験を有する養豚従事者の高齢化や、飼育技術の継承が問題となっている。また、アニマルウェルフェア(農水省PDF)を一層推進し、労務負荷を軽減しつつ効率的な生産を行うことが求められている。畜産業ではデジタル技術の活用が遅れていて、生産業務全般を支援するシステムの導入展開は、それら課題の解決につながると期待されているという。

日本ハムと、NTTデータおよびNTTデータSBCは、共同開発を進めている養豚支援システムの第一弾として、今月12日より発情検知サービス「PIG LABO® Breeding Master」のテスト販売を行い、参画農場を募集する。同サービスは、豚舎に設置した複数のカメラから、母豚の種付け適正時期を意味する発情をAIにより検知する。

ベテラン飼育作業員による長時間の観察が必要だった発情判定を、効率的かつ高精度に行うことが可能となり、高い生産レベルを安定的に維持できる。同サービスを使った実証試験では受胎率が1.4%改善し、熟練者の判定による受胎率を上回ることに成功した。さらに、人的判定作業が79%削減できるなど、労務削減効果も確認されているという。

2023年度の本格販売を目指すとともに、新たな機能を順次開発・追加していく。分娩・哺乳、育成、肥育など、母豚の繁殖から仔豚の育成、出荷までの全ステージにおいて、飼育作業を総合サポートするシステムを'29年までに実現することも目指す。これにより、養豚生産における労働環境の改善や生産性の向上・安定化を図り、養豚・畜産業を活性し、社会・地域課題を解決していく構えだ。