大量のカルテ・健診情報を学習したAIで生活習慣病の発症リスク予測

人生100年時代。日本では医療費の増大などが社会課題となっている。健康寿命の延伸には、介護生活につながる要因の一つである病気を防ぐことが重要だ。特に、生活習慣病への罹患は個人のQOL(生活の質)の大きな低下を招くおそれがあるため、予防医療の必要性が高まっているという。

倉敷中央病院と、NECソリューションイノベータは5日、心筋梗塞や糖尿病といった生活習慣に起因する様々な疾患の予防医療に向けて、生活習慣病の発症リスクを予測するAIの共同研究を開始した。同社は、フォーネスライフと、少量の血液から疾患発症リスクを予測する等のデジタルヘルスケアサービス「フォーネスビジュアス」を昨年より提供し、予防医療の普及と推進に取り組んでいる。一方、同病院は――

「患者本位の医療」「全人医療」及び「高度先進医療」を基本理念として、2018年にNECとAIを活用した予防医療に向けた共創活動を開始(同年8月発表)。'19年に予防医療プラザを設立するなど、次世代の予防医療の展開に取り組んでいる。今回、 予防医療のさらなる発展に向け、医療機構内の保有データと、NECソリューションイノベータの予測技術を融合して同社が開発するAIを活用し、「地域医療エコシステム」を構築していく。

当該研究では、同病院が保有する約45万人分カルテと、予防医療プラザが保有する過去10年分の健康診断情報をAIに学習させ、現在の健康診断結果から未来の生活習慣病の発症リスクを予測するAIを開発する。開発に利用するカルテおよび健康診断の情報は、個人を特定できない匿名加工情報を使用する(個人情報保護方針)。

両者は上記AIにより、受診者一人ひとりの発症リスクに応じて、検査の推奨および生活習慣の改善策を提案するオーダーメイドヘルスケアの提供を目指す。循環器疾患、内分泌疾患を対象として研究を進めた後、腎疾患、肝疾患への拡大を検討するという。