家畜の幸せと畜産業の課題解決をDX技術で両立する

すべての動物は快適な環境を求めている。生涯身体的にも心的にも健やかであるべきだとして、国際獣疫事務局(OIE)が「アニマルウェルフェア」を定義している。畜産業では、その考えを取り入れることにより、家畜のストレスや疾病を減らして、生産性や安全性を向上できるとされている。

アニマルウェルフェアは、国連SDGs「12 つくる責任 つかう責任」の取り組みにも位置付けられている。ゆえにこの新サービスがSDGs達成に向けた具体的な一歩となることを期待しているという。NEC通信システムは、家畜の健康を重視したアニマルウェルフェアの向上と畜産効率化の両立をDX技術で実現するサービス「NECアニマルウェルフェアソリューション」を2023年秋に提供開始する。

①家畜の飼育状況などをセンサで把握し、畜産の現場を軽労化、②収集データに基づきアニマルウェルフェア評価基準(WOAHOIE定義)への適合を自動的に評価、③家畜の飼育状況・環境を記録管理し、消費者に届くまでの流通経路すべてで、信頼性が担保された高付加価値な畜産物を見える化。これらの特徴を備えた同サービスは、畜産業界の労力軽減や生産性向上といった従来課題の解決にとどまらない。

アニマルウェルフェアに対応した家畜の飼育から社会全体への普及浸透までの課題を抽出し、DX技術で実現する――。その第1弾として来年秋から、飼育畜舎内を自由に動き回る豚の個体識別、アニマルウェルフェア視点での飼育状況、行動履歴をデータ化し遠隔で管理可能とするソリューションを提供する。他のソリューション用のソフトウェアも並行して開発し、2024年度にはすべて商用化する予定だ。

研究の一部は農水省委託プロジェクト研究「鶏及び豚の快適性により配慮した飼養管理技術の開発」( 同省PDF)の補助を受けているという。同社は、上記ソリューションを来月「第4回 国際畜産資材EXPO」で披露する。