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空間設計ソフトウェアにて人々の交流ホットスポットをコラボ空間へ
その空間の認知に主眼を置いた分析は、様々な数理手法が提案されつつも難しいテーマであり、定量的な評価に課題が残っている。結果として、特に空間設計の大まかな方針を決めるような初期フェーズでは、空間デザイナーの感性や経験則に頼らざるを得ないシーンも多々あった。その最たる例が、人々の活発な交流が期待できる公共的な空間(パブリック空間)と、それぞれの人が静かに集中できる個室的な空間(プライベート空間)の理解だという。
東京大学生産技術研究所(本間裕大准教授)とセックの研究グループは、数理最適化手法を用いて人々の動きや交流のパターンが及ぼす影響を評価・予測し、建築・都市空間の設計を支援するシステムを共同開発してきた。その成果発信の1つとして今月14日、同空間において「人々の交流が生まれやすいホットスポット」の場所を色の濃淡としてリアルタイムに可視化する、ソフトウェア「Convex Space Visualizer」(GitHub)を無償公開した。
学術的な新規性としては、凸空間列挙アルゴリズム(J-STAGE)をソフトウェア実装した点が挙げられ、本公開によって複雑なプログラム作成が不要となる。数万から数十万もの凸空間を網羅的に列挙し、その分析結果をリアルタイムで得られる。
住宅のフロアレイアウトやインテリアデザイン、駅前空間や公園空間の活用など、ユーザーとデザイナーが対話しながら、協働で理想の空間を設計していくような場面、特に初期フェーズでの活用が期待できるという。この度の成果は同日、「日本オペレーションズ・リサーチ学会秋季研究発表会」にても公にされた。