疑似量子アニーリング基盤を生かして部品配送計画を立案

量子力学の現象を用いて超複雑な問題を高速で解く。量子コンピュータへの期待が近年高まっていて、その企業でも、生産計画の最適化や金融領域における機械学習の精度向上など、様々な領域での技術活用に取り組んでいる。一方、保守サービス事業を展開するグループ企業では――

CE(カスタマエンジニア)のスキルや到着時間をもとに出動計画を作成し、交通事情を加味しつつパーツセンターから保守部品を配送しているが、緊急対応や定期保守、時間指定の対応など様々なオーダーが存在する他、配送エリア、部品の種類・サイズ、配送手段の組み合わせは膨大であり、配送計画の立案に時間がかかるうえ、効率的な配送計画を立案できる人材が限られるなど、課題を抱えていたいう。

NECと、NECフィールディングは、量子コンピューティング技術を活用した保守部品の配送計画立案システムを構築。来月より東京23区内における保守部品配送を対象にそれを本格導入する。これにより、毎日2時間かけて行っている翌日分の保守部品の配送計画立案作業が12分間に短縮されるという。両社は「NEC Vector Annealingサービス」を活用した実証実験を2月より行っていた。

その結果、同サービスを生かした配送計画が熟練作業者と同等程度の内容であることが確認できたため、第一段階として立案作業効率化・属人化解消に向け、約50件の翌日分の配送計画に適用するシステムを開発。同システムは、配送計画立案の作業時間を1/10に短縮するだけでなく、適用業務範囲や対象エリアの拡大により配送車の削減、距離の短縮化を実現し、配送コストを約3割削減できる見込みだという。

両社は今後、CO2排出量の低減等も目指していく。今回の取り組みを「NVW」の9/16(金)プログラムで紹介する予定のNECは、企業や大学による量子コンピューティングの利活用を推進し、社会課題の解決に貢献していく考えだ。