賃貸住宅でのひとり暮らしをスマートメーターが見守る

体調不良を誰にも伝えられなかった挙句そのままひとり息を引き取る。長らく誰にも発見されることのない「孤立死」は明確な定義がなく、全国的な統計もないけれど、増加傾向にある。東京23区では、一人暮らし高齢者の在宅死亡が平成20年(同14年比)に1.6倍となっている。

悲惨な孤立死は人間の尊厳を損なうものであり、その親族、近隣住人や家主らにも衝撃や負担を与える――と、内閣府Webに上記状況が明かされている。それは地方都市でも同様だろう。高齢化の進展に伴い孤立死による賃貸物件価値の低下や、それに伴う高齢者の入居受入拒否が社会的課題になっているという。

九州電力は、スマートメーターからの30分毎電力量データと独自の解析技術を活用し、賃貸物件にひとりで暮らす人の活動状況に変化があった際には入居者の親類等に知らせる、不動産会社向けの新サービス「Q-ieまもり」を今月中旬に開始予定だ。同サービスは、明和不動産および明和不動産管理と共同で約1年間実証実験を行い、今般後者が管理(トータルサポート)する賃貸物件向けに正式提供するものだ。

①スマートメーターで計量された30分単位の使用電力量データを九州電力が取得 (当日分の使用電力量データを翌朝取得)、②1日分の使用電力量データを解析のうえ、通常と異なる傾向があった場合に「異常」と判定、③ 「異常」判定が、あらかじめ定めた日数以上続いた場合、入居者へ安否確認の架電を実施、④安否確認の電話に応答がない場合、明和不動産管理及び事前設定した入居者の親類等へ、メールやSMS等で通知する。

同サービスはDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の取り組みのなかで生まれたという。3社は、今回の新サービスを通じて、ひとりで住んでいる人の異変が長期間発見されないといった事象を回避することで、一人暮らしの誰もが安心して賃貸物件に入居できる環境づくりに努めていく構えだ。