次世代ロボット、物体認識AIモデル開発を低コストで実現する

AIの活用が産業・医療現場に広がりつつある。人間とロボットの共生時代がやって来る。今日、AIモデルの学習では多くのデータを必要とする。実データの大量収集は非常にコスト高となり、開発や実装を遅らせる一因となりかねない。

同コストを抑えるために、シミュレーション技術を使って大量のデータを自動的に作る試みが山ほど行われてきた。が、写実性に欠けるCG画像群で学習させた認識AIモデルの性能は必ずしも期待通りにならない。およそ不十分であることが課題になっていたという。エクサウィザーズは2日、AIモデルのためのシミュレーション画像作成サービス「exaBase ビジョンシミュレーター」のα版をリリースした。

新サービスは、認識AIモデルの開発に不可欠な画像データ収集コストを大幅に削減する。3Dメッシュデータなどをもとに認識AIモデルに必要なアノテーションつきCG画像データを大量に生成、独自考案フレームワークによりそれらのリアルさを評価できる。同フレームワークに基づいてレンダリングのパラメーターを調整することで、よりリアルな画像の生成を定量的に評価・決定できる(特許第7058434号)。今般の新技術で作成した物体検出モデルは――

検証環境にて従来のCG画像で学習させる手法よりも最大3.6ポイント程度高い精度が確認された。CG画像で学習したAIがより確実に対象物を認識できるようになり、実画像で数週間要するようなデータ収集が数日間で完了――大幅な効率化も期待されるという。同社は、上記フレームワークに基づいて様々な後処理を加える技術も開発していて、これから画像の写実性、AIモデルの性能ともども改善していく。

理研ガーディアンロボットプロジェクトの試作機「ぶつくさ君」の物体認識アルゴリズム開発での検証が予定されている。上記新技術の一部をまとめた論文は「IROS 2022」@京都国際会館)にて発表される。