証明書申請DX、自治体への郵送請求をキャッシュレス化

旧来の物事における電子技術利用ないしアナログからデジタルへの変換が本義ではない。IT(情報技術)を駆使して人々の暮らしをより良い方向に変えていくという、デジタルトランスフォーメーション(DX)が産業・医療ヘルスケア分野で脚光を浴びている。今日、行政機関でもDXが急務である。

自治体が住民等に発行する各種証明書の入手方法は複数ある。マイナンバーカードを保有する住民は、コンビニのKIOSK端末やオンライン申請を利用できる。一方、マイナンバーカードを持っていない住民、業務上その交付を求める法人や司法書士・行政書士などは、直接自治体の窓口に出向くか、申請書を郵送して請求することとなる。

郵送請求の際には、手数料分の定額小為替を郵便局で購入したのち、申請書と本人確認書類の写しを同封したものを、対象自治体へ郵送する必要がある。今年1月17日に定額小為替の購入手数料が従来の倍の200円となり、郵送請求をするためのコストが増えた。また、海外在住者は定額小為替の購入自体が困難である。

自治体においても、郵送請求に対応するためには、おつりを返金するための定額小為替の準備や、同封されてきた定額小為替の不足時などにおける追送連絡などが必要になる。それらが課題だったという。富士フイルムシステムサービスは、住民票の写しや戸籍証明書をはじめとした各種証明書の郵送請求におけるキャッシュレス化の実現に向けた実証実験(一部法人および司法書士のみ対象)を、東京都墨田区と10月1日~11月30日に行う。

同社は、証明書請求者と自治体職員双方の負担を軽減すべく、定額小為替無しで郵送請求を完結できる仕組み「証明書キャッシュレス申請サービス(仮称)」を構築――。手続きの煩雑さや定額小為替購入手数料の負担を理由とした司法書士などからのキャッシュレス化、その要望を受けていた墨田区と実証実験を実施し、上記仕組みの事業性を検証する。