無人化施工技術の高度化には、車載カメラ映像の4K高品質化や、建機の傾きや振動等の現場情報のフィードバックを要する。より高速・低遅延伝送が可能な無線通信システムの適用が必要となる。建設プロセスにおいて「i-Construction」(国交省)に関する取り組みが進む今日、地域や産業の個別ニーズに応じて企業・自治体などが主体となり構築運営するローカル5G(L5G)に着目したという。
熊谷組、京セラ、NECは、熊谷組技術研究所屋外実験ヤードにおいて、無人化施工に不整地運搬車の自動運転を組み込んだL5Gの試験環境下で建機の遠隔操作と自動運転の実証実験を6月に実施した。技術研究所の本館および土質実験棟にNEC製ローカル5G基地局を設置し、アンテナを屋外実験ヤードに向けて調整した。
基地局ユニットから土質実験棟内のサーバを経由して遠隔操作室の通信機器まで回線接続――。建設機械上には受信電力情報をリアルタイム取得できるなど運用自由度の高い京セラ製ローカル5G対応デバイス「K5G-C-100A」を設置し、車載カメラ映像をIPネットワークの上り回線を通じてパケット伝送し、遠隔操作室のモニタに表示することを可能にした。
屋外実験ヤード内でのスループットや遅延時間測定に関する基礎実験を行い、基地局間のハンドオーバー機能(移動端末接続する基地局のスイッチ機能)を通じて、屋外実験ヤード内での高い上りリンクスループット、低遅延を達成可能なことを確認した。今後も同通信環境の検証を継続する。複数の無線通信システムを併用しながら、建機の遠隔操作と自動走行を高度化できるL5Gの本番導入に向けた取り組みを加速するという。