災害対策DX、ゲリラ豪雨の早期予想や浸水想定などをデータにて

線状降水帯やゲリラ豪雨による水害が全国各地で発生する。近年、既存ハザードマップの想定を超えるなど被害が激甚化している。正確な予測が難しいゲリラ豪雨はとくに、河川や内水の氾濫、道路の冠水、建物への浸水といった水害への対応が喫緊の課題となっている。

その準備にあたる自治体職員は、極めて短時間のうちに被害を想定し、対策の判断や関係者への指示、住民の避難行動を促す情報伝達を行わなければならず、それらが大きな負担になっているという。NTT-AT日本工営東芝NTT東日本(埼玉西支店)は、埼玉県ふじみ野市の協力下、高精度かつリアルタイムな降雨・浸水予測データを活用した災害対応業務の有効性に関する実証実験を、今月19日から共同実施する。

今年12月28日まで同市内各所にて4つの仕組み、①最新技術によるゲリラ豪雨の高精度な早期予測、②高解像度リアルタイム浸水シミュレーション、③刻々と変化する動的ハザードマップの提供、④タイムリーな情報配信――を連動させたシステムを実際の災害対応業務で活用する。①では、世界初の実用型MP-PAWR(NICT記事)国交省XRAINを活用し、改良版VIL-NCにより局地的豪雨の兆候と雨量を発生30分前に高精度予測する。

②では浸水シミュレーション技術に基づくリアルタイム浸水予測情報の提供が行われ、③では②の結果に基づき数時間先までの浸水による危険度がわかる。そして④では、ゲリラ豪雨による危険が迫る地域のユーザースマホアプリに、浸水予想区域・浸水深情報が届けられる。当該情報は自治体職員・関係者の体制準備や対応指示などの実行、避難情報の発令判断の支援につなげる。

早期予測、浸水想定、動的地図の提供・配信で構成される一体型サービスを提供する。4社は、精度の高い予測情報に基づく的確・迅速な災害対応の判断と実行、および被害軽減観点での同システムの有効性を検証するという。