画像信号処理の知財、"海の産業"や環境調査等に生かす

カメラ画像信号はあらゆる分野で用途が拡大しつつある。昨今、カメラ映像記録再生装置、監視・車載・FAカメラなどの分野だけでなく、農林水産業分野へも応用が期待されている。けれども陸上と水中とでは求められる画像の性能や諸元が異なる、多く資源の眠る海中においては尚更だろう。

海中画像は、漁業、養殖業における魚介類の生育監視や収穫漁時期の判断をはじめ、資源開発の影響に関する海中水質調査、保全、環境計測などに応用されてはいても、従来、色かぶりや不均一な明るさが課題だったという。JVCケンウッドは、映像関連機器の高画質化を実現する独自の画像信号処理IPである「IPSILOS」を海中画像における信号処理に応用展開した「海中画像鮮明化技術」を開発した。

同社は⺠⽣⽤/業務⽤ビデオカメラ開発で培ってきたユニークな画像信号処理回路をベースに、基本性能を強化・拡張し、車載向け等さまざまな用途における映像関連機器の高画質化を実現する技術として「IPSILOS」を確立(21年1月リリース)し、IP(知的財産)展開している。今回、同IPを応用した海中画像鮮明化技術は、「浮遊物除去」「画像鮮明化」「緑かぶり補正」「分割線と分割表示」などを実現。

多彩な分野において、より正確で効率的な情報収集、調査、解析を可能とする。内閣府SIP「革新的深海資源調査技術」の研究推進法人JAMSTECと、岡本硝子の協力のもと、実際に調査で使われている海中画像を用いて技術検討を行い、処理前後の画像比較によって鮮明化の効果を確認しながら開発を進めているという。

同社は、今後拡大が見込まれる幅広い分野にこれを展開することで、海中画像を用いた水産業のIT化/AI化や海洋・環境調査などへの貢献を目指す。上記新技術を今月24日~26日、第24回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」内の「フィッシュネクスト技術展」にて披露する。