小型モビリティをデジタルツインで自走化、まずは電動車椅子から

自動車より手軽な移動手段となる。一、二人乗りの小型車両「パーソナルモビリティ」は、自律走行を実現する際、対象エリア内の独自マップ情報を事前作成する必要がある。範囲が広い屋外でのそれは難しい。一方屋内では、屋外走行用の各種安全装備と多数のセンサーを減らすことも課題だという。

竹中工務店日立gluonは共同で、国交省主導「Project PLATEAU」の一環として、屋内外でのパーソナルモビリティの自律走行を見据えたデジタルツイン(物理空間のモノや環境をコンピュータ上/サイバー空間に完全再現する技術・システム)の構築および走行実証を本格化する。同実証では電動車いすを活用する予定だと今月5日に発表した。

走行実証は11月(予定)から、大阪市北区天満の「コモングラウンド・リビングラボ(CGLL)」とその敷地内で実施する。これまで難しかったパーソナルモビリティの建物内外連続での自律走行、デジタルツインを活用した円滑な自律走行の効果検証、3D都市モデルと3D建物モデルとの統合手法の開発、都市レベルのデジタルツイン構築と社会実装に向けたガイドラインの作成などを行う。

3社は、CGLLに昨年7月から参画。建物内に設置したLiDAR(光検出&測距)などのセンサーから取得した位置情報により、屋内におけるモビリティや建物設備との連携制御、デジタルツイン構築をしてきた――知見と技術を活用して、上記実証を推進する。他にも、地下鉄御堂筋線本町駅周辺域にて、BIMモデルと3D都市モデルとを連動させてARナビの実証実験を行い、駅と建物をつないだまちづくりのデジタルツインを推し進めていく。

今回の実証を通じ、都市・建物とパーソナルモビリティのリアルタイム連携や、リアル・バーチャル空間のシームレスな連携を実現し、長距離歩行に不安を感じる人への移動手段の提供など、実社会への普及・展開をめざしていくという。