スマート農業、画像から作物の成育指標を自動取得

超省力・高品質生産を実現する「スマート農業」が始まっている。日本では、農業における人手不足や、気候変動などの環境変化に対応する手段として、AIなどの先端技術を活用する新たな農業への期待が高まっているという。

キヤノンは、長年培ってきたイメージング技術を活用して、非破壊・非接触で作物の画像から生育指標を自動で取得可能な農業生育モニタリングシステム"GM-1"を開発し、スマート農業(解説:農水省Web)での活用を推進するため、水稲栽培における実証実験を行っている。そして今月2日、キャノンMJとともに、独自の画像解析技術とディープラーニングAI診断技術により、生育状況のデータ化に成功したことを発表した。

作物栽培の効率化や品質向上などを実現する農業ソリューション、"GM-1"は、撮影した作物の画像から、生育状況を把握するうえで重要な葉色・茎数・草丈といった生育指標を自動計測できる。水田にこのシステムを設置することで、撮影と画像のクラウドへのアップロードが毎日自動で行われる。従来手作業で行っていた計測を自動化することで、作業効率を大幅に改善できるという。

画像から統計的に生育状況を解析できるため、ばらつきの少ない、安定性・再現性の高い解析が行える。データを継続して蓄積し、過去データと比較できるので、作物の適切な栽培管理に加え、新品種開発や気候変動リスクへの備えなどに活用することも期待される。システムの実用化に向けて、ベジタリアと協働している同社は、日本全国の農業関連団体・企業、自治体や生産者とも協力して、国内約60カ所で水稲栽培における検証を実施している。

毎日データ化される生育指標をもとに、栽培条件の違いが作物に与える影響や品種による生育状況の違いなどを共同検証している。今後は、水稲栽培での実用化を推進するとともに、水稲以外の作物への展開も視野に入れて開発に取り組んでいく考えだ。