患者の様子やバイタルデータ等を救急車から病院へ即時伝送・共有する

その自治体では大学病院が中心となって、救急医療現場での迅速対応や患者の救命率向上に取り組んでいる。2014年春に連絡協議会が発足し、7月には救急車の位置と車内映像データをリアルタイム共有するシステムの運用を開始した。

大分県の4救急救命センターと10消防本部にそれが導入されていた。大分大学医学部附属病院が中心となってICTを積極活用し、17年7月には12誘導心電図伝送システムも追加され、さらなる救命率の向上に役立てられていた。「大分県遠隔画像伝送システム」は、県下すべての病院・消防本部に導入されておらず地域によって救命率の差が生じる、その可能性が危惧されていた。

ハードウェアの耐用年数、OSのサポート終了、サーバー性能が不十分で新たな要望に対応できないなどの課題もあった。上記システムの運用開始当初より協力していて、映像伝送システム「V-FAST」などの構築を担当しているという。インフォコムは今年7月27日、「大分県遠隔画像伝送システム」のリニューアルに当たり、同システムのクラウド化を含めたシステムの構築を行ったことを公表した。

救急車内での患者の容体や心電図などの情報を、医療機関にリアルタイムに伝送する同システムは、今回のリニューアルで、既に導入されていた①映像、②位置情報、③心電図の3システム統合とクラウドへの移行を実施。併せて県下の主要24病院と全消防本部への導入が進められ、救命率向上に寄与している。救急隊員からは、「正確に伝えられているという安心感があり、目の前の処置に集中できる」などと好評を得ている。

同様のシステムを県下全域へ導入する例は、他県に類を見ない事例だという。同社は医療機関や製薬企業向けにITサービスを提供するヘルスケア事業にて製品/サービス機能の強化・品質向上、競争力強化を進めていて、これからもICTを活用した災害・救急医療への取り組みを推進していく構えだ。