タクシー車両と配車システムを"カーボンニュートラル"にシフトする

日本政府も一昨年秋に「2050年カーボンニュートラル」を宣言した。以来あらゆる方面で、その目標達成に向けた動きが加速している。2兆円の基金をNEDOに造成した事業は、経産省等が策定した「グリーン成長戦略」の重点分野を支援することを目的としている。

運輸部門では脱炭素化に向け、シミュレーション技術を活用し、社会全体及び個別事業者におけるエネルギー利用・運行管理等の最適化を実現するスマートモビリティ社会の構築を目指している。NEDO「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築」に採択された、第一交通電脳交通は共同して、「タクシー車両のEV化及び配車システムでの運用効率化によるカーボンニュートラルへのシフト」に取り組む。

両社は連携して、広島県と和歌山県の各エリアの特性に合わせ、配車システムをコアとした運行の効率化と給電タイミングの最適化を行う。航続距離の短さや給電時間の長さなどにより電動車の商用利用が進んでいないところで、それら課題を解決すべく、システム構築とデータを基に最適な車両・設備の配置を行い、全体最適化を行う。

CO2削減効果が高く、業界に親和性が高い最適なエネルギーマネジメントについて研究開発――①配車システムと連携した給電管理システムを構築し、BEV(バッテリー電動車)運用上の給電最適タイミングを実証、②データを基に最適な車両・設備の配置を行い、全体最適化に向けた実証を実施する。フェーズ1では「給電所利用状況の可視化と予約」、フェーズ2「給電タイミングの最適化」、フェーズ3「給電を軸とした車両コントロール」をめざす。

両社は、新型コロナウイルス禍による移動の減少や、燃料費高騰などコスト増加にも対応すべく、電動車の最適な商用利用を実現し、タクシー業界へ拡大していくことで、地域交通の維持とカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みに貢献していく構えだ。