基幹業務ソフトウェアパッケージ市場は'21年に2桁増を記録

財務会計、人事給与、販売管理、生産管理などの基幹業務データを統合する。情報システムを構築するための「ERP」は現在、パッケージソフトウェアからクラウドサービスとして提供されるものまで、事業規模やDXの進捗などに応じて色々選べる。

今月19日、矢野経済研究所は、国内のERPパッケージライセンス(クラウドのサブスクリプションを含む)市場を調査し、参入企業・ユーザ企業の動向、将来展望を明らかにした。2021年の同市場はエンドユーザ渡し価格ベースで1,278億円(前年比10.1%増)。20年はコロナ禍によるユーザ企業の業績悪化懸念などから案件の先送りが発生し、前年比1.4%増とほぼ横ばいだったが、21年は一転して2桁成長となった。

前年の先送り分が追加需要として上乗せされた。21年の同市場は一時的な停滞を脱し、成長軌道に戻った。コロナ禍中に企業活動のデジタル化が進み、クラウドでERPを利用する企業も着実に増加している。22年は法制度対応への注目度が高い。電子帳簿保存法令和3年度改正で要件が緩和され、電子取引における電子保存の義務化に2年間の猶予が認められることとなった。

また、来年10月にはインボイス制度の施行を控えていて、ERPパッケージベンダーは猶予期間中に同制度を含めた法制度対応の支援を進める考えだ。ユーザ企業側の制度変更への関心は高く、セミナーやキャンペーンのテーマに"法制度"を掲げ集客を図るなど、市場の活性化が期待されている。今年のERPパッケージ市場は前年比5.2%増の1,345億円になると予測する。

レガシーシステムのリプレイス、DXの一環としての経営基盤強化といったニーズが同市場の成長を支える。クラウドシフトはいっそう進展する見通しであり、SaaSの利用も拡大するだろうという。実態と展望は同社のマーケットレポートに加え、税込み1,100円のショートレポートでも確認できる。