"みちびき"とブロックチェーンでデリバリーサービス員の保険を実証

コロナ禍でフードデリバリーが社会インフラとなった感がある。それ以前より、デリバリーサービス員による危険運転が社会問題としてクローズアップされてきた。日本の遙か上空には、地上や海上を誤差1mで測位して見守り等に活かせる準天頂衛星が現在4機も飛行している。

内閣府「みちびきを利用した実証事業」('21年度公募)に基づき、CACは昨年9月~今年3月、みちびきSLAS(サブメータ級測位補強サービス)を活用して配達員の運転情報と連動する保険システム、配達員用スマホアプリ、保険会社などユーザー用Webアプリを開発し、東京都江戸川区にてSLAS受信機で配達走行中の自転車に対する「みちびき×ブロックチェーンを用いた配達員保険システム」の実証実験を行った。

推奨ルートの逸脱やルール違反についてスマホアプリで走行中の位置等の情報を収集し、配達結果を正しく評価できるか、ブロックチェーンで共有された配達スコアから保険料を計算する検証を行った。同計算ではグループ保険形式を想定して、各配達員の保険料を自動的に計算するスマートコントラクトを開発した。

今回、同システムにより走行位置を正確(誤差1m以内)に取得でき、配達を評価するスコアを想定パターンで計測可能なことが分った。デリバリーサービス会社と保険会社間でブロックチェーンを用いてスコア等のデータを改ざん不能な形で共有できることを確認した。一方で、課題も明らかになった。実際の配達ルートは頻繫にカーブが続いたり、道路幅員が変化したりするので、いまの判定アルゴリズムでは誤判定されるケースがあるという。

同社は今後、複雑なルートにも対応できるルール違反判定アルゴリズムの改善や、事業化に向けたコストの精緻化等を検討し、事故の低減に貢献するシステムの開発を進めていく。今回の実証実験をテーマに9月末、N-PLUSの「SATEX(衛星測位・位置情報展)」にて講演を行う。