自動車テストコースをローカル5G化、ブレーキ性能を試験する

最新モバイル通信規格にて地域等の課題を解決する。「ローカル5G」の実装が本格化しつつある。大手通信キャリアを悩ませている電波伝搬距離の短さといった問題とも縁の薄い、ローカル5Gの導入ガイドラインが今春総務省により改定・公開された。そして7月――

JRC日清紡ブレーキは、後者の技術開発フィールド・旭テストコース(千葉県旭市)にローカル5Gシステムを構築した。前者は自動車テストコースにおいてローカル5Gシステム実用無線局免許(関連情報:総務省Web)を取得し、電波伝搬検証やシステム実証を経て、今秋より実運用を開始する。

両社は協働して自動車ブレーキ性能試験を実施する同テストコースにてSub-6帯(4.8-4.9GHz帯)ローカル5Gシステムを築いた。同システムでの大容量情報伝送、低遅延な遠隔操作・監視・制御により、テストコースで発生する様々な現象を遠隔地の技術開発拠点(日清紡ブレーキ館林事業所)とリアルタイム情報共有することで、技術開発業務の効率化と高付加価値化を実現する。

ローカル5Gシステムの導入により、テストコースを試験走行する車両から得られる多種・大容量試験データや高精細カメラによる路面状態の観測映像のリアルタイム解析が可能となり、技術開発期間の短縮や即時の再現試験によって技術開発の高付加価値化が期待されるという。今回、JRCが開発した同システムは、シャープな指向性を持つ高利得アンテナの実装によって理想的な電波伝搬とされている。

自動車テストコースに求められる細長い通信エリアを効率的にカバーすることを可能にしたという。同社は、これまでテストコースへの導入実績を重ねてきた高精度監視カメラ、入退場ゲートシステム、ネットワークセキュリティ等の信頼性の高い技術と併せて、今後は新たに開発したローカル5Gシステムを組み合わせたシステム構築を、日清紡ブレーキと共同推進していく構えだ。