農産物の生産情報と需要情報をマッチングする基盤を実証

人口減に伴い消費市場全体の規模が縮小している。日本で、多くの実需者は、コモディティとしての農産物を欠品しないよう確実に仕入れるのと同時に、競合との差別化や利益率の向上に寄与する付加価値の高い農産物の仕入れに力を入れ始めている。

生産者の顔とこだわりが見える地物はその代表格だが、地方における食品流通は、大都市優先とか一般消費者向けサービスの台頭といったことで年々減少している。電話やファックスによる取引が実供給・需要の定量把握を困難にしている。そのため実需者は都市部経由の地物を購入せざるを得ず、生産者はこだわりの品がコモディティ品と一緒に扱われたり、過剰コストを前提にした価格で取引されたり、高収益化へのシフトが難しい現状があるという。

凸版印刷は、農産物の生産者と、宿泊施設や介護施設、飲食店など地域の顧客(実需者)を専用アプリでつなぎ、生産情報と需要情報をマッチングするプラットフォーム「ジモノミッケ!」を開発。そのユーザビリティと事業性を11日から会津若松市とその近隣地域で実証する。実験には農産物生産者30社と、宿泊・介護・飲食・食品加工・小売系の30社が参加する。

上記取り組みはAiCTコンソーシアムの活動の一環で、同社は「地域内流通DXとフードロス削減による農業再活性化プロジェクト」リーダーを務めている。「デジタル田園都市国家構想推進交付金」デジタル実装Type3に採択された同市(内閣府PDF)で、当該DXの実装を通じて三位一体・地産地消型の「食・農業」の実現を推進する。

①直感的に操作できるインターフェース、②トレーサビリティによる品質管理が可能な物流体制、③最適な取引相手を自動マッチング(開発中)、④都市OS(同PDF)とデジタル地域通貨との連携(開発中)を特長とする。「ジモノミッケ!」について、2023年度の事業化や都市OS導入地域を軸にした水平展開などを目指していくという。