故障診断アプリを新たに、建機・農機のアフターサービス品質向上へ

どれほど素晴らしく品質や性能が良いものであっても機械は壊れる。何千億円も掛けて開発されたスーパーコンピュータが電源を失えばガラクタになり、誰もメンテナンスできない高級車が売れないように、あらゆる機器・機械には動力基盤と、故障診断及び修理を確実にするしくみや体制が要る。

機械の稼働率はユーザーの収益に直結する。故障による機械の停止、現場到着から修理完了までの時間を含むダウンタイムを極力短縮させることはメーカーやディーラーの重要課題である。従来、故障した製品は、ディーラーのサービスエンジニアによる修理が一般的で、同エンジニアはウェブマニュアルをもとに故障診断をしていたが、診断に時間がかかり、当社への問い合わせが必要な場合など機械の停止時間が長くなるケースがあった。

そこで一昨年にこのアプリを開発したという。クボタは今月、米国でサービス展開している故障診断モバイルアプリ「Kubota Diagnostics」(紹介動画YouTube)をアップデートし、対象製品を拡大した。

Kubota Diagnosticsは機械のサービスエンジニア向けのスマホ用アプリで、運転席に表示されるエラーコードや発生症状から故障箇所をスムーズに特定する診断フローを提供し、3DモデルやAR(拡張現実)による点検箇所の提示で診断作業をサポートする。そして、農業機械・建設機械の停止時間削減に寄与する。

サービス開始当初は小型建機の一部製品が対象だった(20年12月発表)ものの、今年7月7日にトラクタ M5シリーズ(92馬力〜105馬力)を対象製品に追加した。M5シリーズは米国で販売されている中型トラクタの代表的な機種であり、このたびのアップデートによって、より多くの顧客のダウンタイム削減を実現することが可能になるという。クボタは今後も同アプリの対象製品・地域の拡大を進め、アフターサービスの品質向上に努めていく構えだ。