農林業DX、ドローンのリモートセンシングとAIにて地物自動認識

日本の農林業従事者の数は減少傾向にある。その高齢化も歯止めがかからない状況にあることから、持続可能な農林業を実現するためには、先端技術を駆使したスマート農業やスマート林業の展開が必要不可欠となっている――

近年、産官学連携等を通じて、スマート農林業への政策面での推進・サポート、実用化・普及に向けた技術開発・実証実験などが行われている(参考資料:農林漁業信用基金PDF)。それらの実現には、ICT(情報通信技術)やAI技術などの活用が大変重要である。特に、衛星やドローンなどによるリモートセンシング――広範囲の大気や地表の状況を瞬時ないし同一地域を周期的に観測する――技術の活用が注目されているという。

東京都市大学史中超研究室は、ドローンの低層リモートセンシング技術と深層学習を用いた地物自動認識技術/プラットフォームを開発。これにより横浜キャンパスにある竹林を調査した結果、竹の認識率が90.27%に達し、実用化レベルに近づいたという(実験現場映像:YouTube)。

画像推定に適したFCN(全層畳込みネットワーク)のひとつ、U-netを利用した「セマンティックセグメンテーション」にて、対象物の認識を行う。ドローンの撮像を分割し、分割画像にラベル付けを行い、トレーニングデータセットを作りそれを学習させ、画像認識・検証を行った。今回、672枚のデータセットを作り――上記数値を達成した。研究成果は「ISRS 2022」にて発表された。

同プラットフォームは、作物や果物、樹木などの生育状況・数等の把握から、病害の早期発見など幅広い分野に利用できる。すでに受託研究の成果として依頼元の企業に技術提供も行い、国際論文も発表している。2件の学術論文を投稿する予定もあり、近い将来、スマート農林業などの分野で、より多種類の対象物の自動認識に適応・応用して、認識率を向上させ、実用化を目指していくという。