がん患者向けホテル内でバイタルデータをIoT管理、食事も

最新統計によると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性65.0%、女性50.2%。がんは治る病気になったといわれるが、抗がん剤や放射線等による治療期間中、患者にかかる負担および家族も経験する苦労は並大抵のものではない。せめて遠距離通院がなくなれば――。

NTTデータオムロンヘルスケア三井不動産リンクアンドコミュニケーションは、来月1日に開業する「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド」に滞在するがん患者向けに、デジタル技術を活用したバイタルデータ管理サービス「Health Data Bank for Medical」と、食事管理サービス「カロママ プラス」の提供を同日より行う。当該ホテルは、NCC東病院の敷地内に立地し、がん患者と家族を24時間サポートする滞在環境を提供する。

患者にオムロンヘルスケアの医療デバイスやウエアラブルデバイスを貸与し、NTTデータの「Health Data Bank® for Medical」でバイタルデータを記録し、アプリから自身で参照できるようする。記録したデータは本人同意の下、NCC東病院の医療従事者やホテルの従業員が閲覧できる。リンクアンドコミュニケーションの「カロママ プラス」では、NCC東病院、三井不動産と共同でがん患者向けの「食事療養コース」を開発し、食事のアドバイスを提供する。

宿泊者専用ラウンジにITコンシェルジュが常駐し、上記サービスやスマホの操作方法などの相談を受けるコミュニティー機能も備える。将来的には、患者の同意のもと事業間でのデータ連携を可能とするプラットフォーム「Dot to Dot」を利用することで得られたデータやノウハウを、新たな患者向けのサービス開発に活用することで、連続的な価値創造を目指す。

4社は、このたびの両サービスを通じて、「企業が医療機関と協力して、がん患者さんを支える」モデルを構築するという。