5Gと低遅延エッジコンピューティングで手術支援ロボットを遠隔操作

医療界では昨今、医師不足が課題となっている。地域医療において、特に外科医が不足している。手術現場で熟練医から最新の手術方式などの指導を受ける必要があるものの、熟練医が都心に集まっているため、地方の外科医育成は難しい。

熟練医の少ない地域の外科医育成を可能とする手段として、手術支援ロボットの遠隔操作による指導が期待されている。同ロボットの遠隔操作で求められる水準の高精細映像の低遅延伝送はこれまで、LANなどの有線ネットワークによる、執刀医とロボットの1対1通信に限定され、執刀医にアドバイスする熟練医や、手術の様子を見たい研修医などに映像を同時配信することが困難だったという。

リバーフィールドKDDIソリトンシステムズは5月31日、医療DXに向け、5Gスタンドアローン(5G SA)とMEC(多重アクセスエッジコンピューティング:AWS Wavelength)環境を活用した遠隔医療の実証実験を行った。今回の実証では、KDDI DIGITAL GATEの5G SA環境から接続したMEC上の映像中継サーバーで映像信号を分岐することで、「手術支援ロボットの操作の様子を複数のモニターへ映像伝送、遠隔指導を実施」

さらに「5G SAとMECを経由した手術支援ロボットの操作を実施」して、遠隔でリアルタイムに手術指導が可能なことを確認した。映像信号・制御信号の伝送に5G SAとソリトンの伝送装置(Zao-X)を組み合わせ、複数地点への低遅延映像伝送を実現した。ネットワークスライシングによる安定通信も具現化した。

3社は、これからも無線ネットワークを利用した際の技術的な課題を洗い出し、今後の研究開発に向けた各種データの収集を進めることにより、医療業界のDXに貢献していく。このたび用いたリバーフィールドの手術支援ロボットは、虎ノ門ヒルズで開催される国際学会「CARS 2022」にて展示するという。