電力インフラの保全をスマート化、CO2排出量の見える化も

現代社会は電気で成り立っている。各種産業や家庭等を支える電力インフラで重要な役割を果たす、配電用変圧器には長期使用に耐える絶縁油が採用されているものの、それは使用環境次第で短寿命になることがある。一般的な配電用変圧器の異常判断は、定期点検時などに電源を遮断――

当該変圧器を停電状態にした上で絶縁油を採取し、ガスクロマトグラフ分析(気化性化合物試料の成分分離・定量分析)装置で同油中のガス発生パターンを分析する必要があったという。日立産機は5月27日、配電用変圧器に水素ガスセンサーを装備して内部の異常を発見する「配電用変圧器 計測診断サービス」と、受変電設備の監視及び電力使用データとCO2排出量の見える化を実現するシステム用「ロガータッチパネル」の販売を開始した。

同サービスでは、既設配電用変圧器に小型の水素ガスセンサーを取付け、絶縁油から劣化により発生する水素ガス濃度の変化を常時計測できる。これにより、電力を遮断することなく、異常を早期に検出することが可能となる。配電用変圧器の安全な運用を支援する。

また、上記パネルでは、配電・低圧絶縁監視ユニットから取り込んだ電力稼働データの状態監視を行える。使用電力の可視化のため、受電設備における電力監視のニーズが高まっている昨今、情報系ネットワークへの機器接続がセキュリティ等課題だったが、これによりネットワーク接続や監視用PCを不要として、各受電設備における電力使用量の集計と、CO2排出換算量の見える化などを達成する。

受変電現場では、保安人材の枯渇などを背景として、革新的IT(情報技術)により安全性と効率性を追求しつつ保安レベルを持続的に向上させる「スマート保安」(経産省Web)が進められているという。同社は、デジタル技術を活用した受変電設備の計測サービス・監視システムの提供により、電力インフラのスマート保安と脱炭素社会に貢献していく構えだ。